会社の株に投資することは社会貢献そのもの

会社の株を買って投資をするとはどういうことか?


近年はNISA(少額投資非課税制度)に始まり、iDeCo(確定拠出型年金)、つみたてNISA、と、国が積極的に投資の制度を準備してきたおかげで一般の人にとっても株式投資にアクセスしやすい、始めやすい環境が整ってきています。将来のための資産形成ということに株式投資を組み込むことを考えている人も増えているのではないでしょうか。日本証券業協会による証券投資に関する全国調査によると、2015年時点で株や投資信託をやってる人の推計保有者数(20歳以上)は株式投資が1,327万人、投資信託は907万人という数字が出ており、これは人口全体の約13%に当たります。

その一方で、株式投資とはそもそも何なのか、知っている人が案外少ないように感じます。株を買ってその会社の株価が上がれば儲かる。そんなふうに漠然とはわかっているものの、株式を買う、というのは具体的に何にお金を投じているのでしょうか。債券とは何が違うのでしょうか。

こういった、投資の根本的な意味を今回は改めて解説していきたいと思います。

事業の資金調達には「負債」と「資本」の2つの方法がある


「投資」というのは、何かの事業にお金を投じるということです。そこでここではまず、事業を行う側に立って、投資の流れを見てみましょう。

今あなたが何かの事業、たとえば雑貨を仕入れて売るビジネスを始めるとしましょう。すると、商品を仕入れたりするための資金が必要になります。自分で貯めたお金だけで足りなければ、何らかの方法で調達しなければなりません。

資金を調達する方法は、大きく分けて2つあります。一つは誰かから借りること。借金ですね。友人知人、知り合いから借りたり、銀行から借りたりするでしょう。これらは「負債」であり、法的な返済義務があります。事業資金の主な借り入れができる金融機関は、代表的なものを挙げると、

・日本政策公庫(国金):国が運営している金融公庫です。中小規模の事業について、様々な種類の融資を行っています。
・中小企業支援制度(自治体):中小企業庁が行う中小企業支援を目的とした制度で、自治体によって支援内容が異なります。
・商工組合中央金庫(商工中金):中小企業の事業資金の融資などを行っていますが、融資を受けるには一定の条件を満たさなければなりません。
・銀行や信用金庫銀行や信用金庫でも中小企業に向けての融資を行っています。
・ビジネスローン(民間)カードローン会社などが行っているものです。個人・法人問わず融資を受けることが出来ます。

などがあります。


そしてもう一つが誰かに「出資」してもらうことです。これは借りるのではありません。返さなくていいのです。返済義務がありません。返さなければいけない「負債」に対し、出資してもらったお金は「資本」と言います。この「資本」を小分けにしたものが「株式」なのです。

「債券」を発行してお金を調達する方法もありますが、これは上で言う「負債」の一種です。ですから期限が来ると、返さなければなりません。「利息」も決められただけ払わなければなりません。商品が順調に売れて利益が出ていればいいけれど、上手く行かなくても利息を払い、元本を返済します。

よく聞かれる「国債」というものは、その名の通り、国の出している債券であり、国民が国債を買うことで国に出資し、一定期間が経てば利子付きでお金が帰ってくる制度です。一般の企業と違い、国債は相手が日本政府そのものなので、一般企業よりも倒産するなどの心配が少なく、安定感があるので投資先として人気があります。

債券の場合、事業のリスクは事業を行っているあなたがとっているのです。その分、債券に投資する投資家はリスクをとらなくて済むのです。それに対して「株式」は返さなくてもいいお金です。出資してくれた投資家には「配当」を払いますが、配当は利息と違って、事前にはいくら払うか決まっていません。配当は事業をやってみて、年度の最後に残った利益から払えばよいのです。ですから、利益が出なければ払わなくてもいいのです。

さまざまな「リスクをとる」のが株主の役割


集めたお金を返さなくてもいいというのは、事業をするあなたにとっては、とてもありがたいことです。商売が不調なときに、配当も取らずに我慢してくれる。そして、もし最終的に失敗してしまったら、一緒にその損失を被ってくれる、それが株主です。事業が儲かっているときは株主も配当でお金を儲け、事業が失敗した時は株主も出資した金額を失い損をする、株主と会社は運命共同体なのです。つまり、株主は事業のリスクを一緒にとってくれているのです。それが株主の重要な役割です。

商あなたの会社の商品が大ヒットして大きな利益が出たとしましょう。売れ行きが悪くて苦しかった時にも利息を受け取っていた債権者には、決まった利息以上の分け前はありません。事業をしているあなたは、損する時は一緒に損をしてあげましょう、と言ってくれた株主に、その分たくさん配当を支払おう、と考えるのは当然のことですね。

株主は「損をするというリスクを取る」という役割を果たしたので、成功した時にはその対価を払ってもらえるのです。株式を買う、株主になるとは、そういうことです。事業主と一緒になって事業のリスクを取る代わりに、利益が出れば出ただけ株主のものになるのです。一方最悪の場合、投資先の会社が事業に失敗して倒産してしまえば、投資したお金はもう戻って来ません。まさに運命共同体ですね。

株主が株式から受け取る「価値」


さて、先ほどから「投資した会社の利益は株主のものになる」と書いていますが、その利益はどのようにして投資家である株主の手に渡るのでしょうか。

このブログでも何度も触れていますが、まず配当金として株主の手に入ります。ビジネスが順調ならば配当は多くなりますし、不調ならば減ったり(減配)無くなったり(無配)ということもあります。

しかし、その年あがった利益のすべてが配当金になることはむしろ少なくて、配当されない分は、その後の投資や負債の返済などに使われることになります。ただ、手元に現金として入って来なくても、会社の資産になるので、株主のものであることには変わりありません。そして、会社の投資や負債の返済に充てられた儲けはやがて、その会社を大きく成長させて株主に新たな利益をもたらす利益となるのです。

「株主のもの」と言われても、手元に来なければ意味がない、と思う人もいるかもしれません。そこでもう一つ株主の手に入るのが、株価の値上がり益、というわけです。事業が上手く行って会社の資産が殖えます。それは「株式の価値が上がる」ということです。これを反映して株価が上がる、ということになるのです。

実際の株式市場を日々眺めていると、株価の動きはそれほど単純ではないわけですが、株式の価値の源泉が、会社の行っている事業の利益であることには変わりありません。その「価値」に、株式市場が諸々の事情を反映して、日々刻々と変わる価格をつけている、ということなのです。

美しい宝石が、常に変わらぬ輝きを放っていても、市場でつく値段はその時の状況によって変わる、というのと同じです。経済状況は大きく変動しますし、会社の事業も山あり谷あり。それを株価は反映して上がったり下がったりするのです。一見捉えどころのないもののようですが、長い期間にわたってみれば、株価はやはり、株式の価値を反映して動いているのです。

株式投資は社会貢献そのもの


最後に一番知って欲しいことがあります。あなたが株式投資をして自分の資産を増やしたいということはとても正当なことです。そして株式投資を通して投資をするということはもっと大きな意味があります。それはすなわち株式投資とは社会貢献そのものであるということです。

あなたが純粋に自分のためだけに、会社の株を買って投資をしたとしても、投じたお金は誰かを雇うためだったり、新たな設備投資をするためだったり、負債返済に使われます。ということは、そのお金は巡り巡って必ず誰かの手に渡り、お金が渡った人はそのお金で日々のご飯を食べられたり、住む家の家賃を払ったり、好きなものを買ったりできて、豊かに生活していけるのです。

投資によって集まった資金で会社が経営でき、発展・成長すれば会社はより良い製品やサービスができるようになり、もっと人を雇うことができるようになり、やがてそれはもっと多くの人の喜びになります。あなたはその喜びの元となる資金を投資を通じて支援しています。それが投資という活動を通してできる社会貢献なのです。