割安株投資のメリットとコツ

割安株投資か成長株投資か


成長株を証券サイトや会社四季報などで見つけて、投資する手法の反対に「割安株投資」と言われる手法があります。

株式投資にはいろいろな手法があり、「割安株投資」は、世界的に有名な投資家ウォーレン・バフェットも推奨する投資手法だと紹介されることが多いものです。

反対に、このブログでもよく紹介するアメリカの著名投資家、ピーター・リンチ氏はこれから成長して株価が上がってくるであろう株に投資する「成長株投資」で有名です。

割安株投資とは、本来その銘柄が持っている本質的価値に即した株価よりも、株価が安くなっているときに株を買い、「本来の価値に即した株価」に上がってきたときの含み益を狙おうというものです。

しかし、割安株投資には、株価が割安のまま上がってこないというリスクもあります。
それがあなたの投資手法としてマッチしているのかどうかはわかりません。

割安株投資の良い面も悪い面も含めて、割安株投資とは何かを正しく理解して、あなたの利益につなげられるようにしましょう。

「割安株」はなぜ割安なのか?


割安株投資とは、一時的にその銘柄の本質的価値よりも低い株価で取引されている「割安株」が、いずれ株価が自律修正して本来の価値を反映する価格に上昇していく過程で利益をあげる、という投資手法です。

一般的に割安株投資というときには、割安な普通株を買うことを指します。より広義に捉えれば、債券優先株も割安な証券類(債券、優先株など)への投資を指すこともありますが今回は前者について解説します。

銘柄の本質的価値というのは、恣意的な(たとえば仕手筋など)価格操作や市場の心理的な雰囲気などによって形成された株価とは異なるものです。

銘柄の本質的価値というのは、その企業の財務、収益力、配当額、将来の業績見通しなどといった明確に存在している事実によって裏付けられた、本来的な価値のことを言います。

別の言い方をすれば「この企業はもっと成長するはず」「この企業は停滞期だ」あるいは株式市場全体の「今の相場は下げだ」といった投資家の事実の伴わない期待や失望を含んでいない株価ともいえます。

割安株は、本来的な企業価値が認識されておらず、そのため実際の価値に基づいた株価よりも低い株価がついている株のことを指します。

株価には常に投資家心理が反映されている


株式市場において付けられる株価は、多くの場合、投資家の心理を反映しています。

つまり株価は、その企業の本質的価値によるのではなく、投資家の心理によって期待や失望、落胆など、かなり感情的な値段を付けられていることが多いのです。

わかりやすく例を挙げましょう。

アベノミクスのような上昇相場では、「今からが儲けどき」と、市場の熱狂によってあらゆる銘柄が強気に買われ、多くの銘柄の株価がぐんぐんと伸びていきます。

反対に、ひとたび経済危機の傾向が見られれば、「これからは株価がどんどん下がるぞ…」と、その熱狂がごく短期間のうちに冷め、株価が大暴落を見せることもあります。

そんな調子で、株価が1日で10%くらい騰落、つまり上がったり下がったりすることはよくあることです。

そのような騰落の前後において、企業の収益力や財務力や企業体質などは、それほど変化していません。前日に比べて株価10%が下がったとしても、企業の価値が1日で大きく変化することはないのです。

よく考えてみればそうですよね。株価が投資家の心理でコロコロと一瞬で変わりますが、時間をかけて築いてきた企業の資産や業績、人々からの信頼自体は少しも変わりがないのです。

しかし、実際に株価は大きく変化します。このことから、「株式の価値と価格は常に連動しているわけではない」ということがわかります。

市場全体を見渡せば、価値相応の株価を付けている株式があるなかで、非常に割高な価格で取引されている銘柄もあれば、非常に割安な価格で取引されている銘柄もある、というわけです。

常に株価には投資家のあらゆる欲望や感情が上乗せされて、実態が見えなくなっているのです。

パズドラブームにみる「割高株」の例


割安株の反対の割高株の例を挙げましょう。みなさんは一時期流行ったスマホゲームアプリ「パズドラ」をやったことがあるでしょうか?ちなみわたしは一度もしたことがありません。

2013年、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの提供するスマホゲーム「パズル&ドラゴンズ」の大ヒットによって株価が急上昇し、ガンホーの時価総額は一時期、任天堂を超えました。

しかし、ガンホーが最高値を付けたその時、大幅に割高な株価で取引されていたことは、結果として振り返ることができます。このとき、多くの投資家が「ガンホーはもっともっと上がる」と過剰な期待がかかっていたのです。

実はガンホーの収益の軸は「パズドラ」ほぼ一本です。そこへの依存度が強いうえに、一般の人でも肌でわかるように、スマホゲームというジャンルは流行り廃りが激しいです。

つまり、新しいスマホゲーム勢の台頭やスマホゲーム全体の衰退、ときには法改正など、何かの事象によって大きく業績が左右される可能性を含んでいました。

さらに、任天堂よりもブランド力が乏しいことなどを考えても、収益力に乏しいガンホーの時価総額が任天堂の時価総額を超えるということは、当時、異常事態だったと考える投資家もいました。

ただし、当時の任天堂は営業赤字が続いていた時期でもあり、その時価総額が下がってきたところに、飛ぶ鳥を落とす勢いのガンホーが一時的に超えた、という「事件」になったのでした。

ガンホーの現在の株価を見てわかること


少々古いデータですが、先に挙げたガンホーの例がそのあとどうなったかを見ていきましょう。

2016年7月19日の時点でガンホー・オンライン・エンターテインメントの株価は282円です。これは、2013年当時の最高値1633円と比較すると、株価は6分の1程度になったことになります。

一方で任天堂はどうかというと、「ポケモンGO」の大ヒットによって時価総額が倍の4.5兆円となっています(2016年7月19日終値から)。

この例から、割高株の持つリスクがわかったのではないでしょうか?割高株にはこのように投資家の期待値が過分に織り込まれており、そのような株にさらなる上昇を期待して高値で投資してしまうと思わぬ痛手を被ることがあります。

ガンホーの場合は「パズドラブーム」という株価高騰の確かな要因がありますが、IT関連株などはその成長性に期待が上がりすぎて、大きな成果も出ていないのに、割高な銘柄になっていることがあるので注意が必要です。

なぜ「割安株投資」で利益が出せるのか?


では、なぜ割安株に投資することで利益を期待できるのでしょうか?

それは、株価が割高あるいは割安で取引されているとき、市場価格はいずれ自律修正して本来の価値を適正に反映するとされているからです。つまり、割高な株式はいずれ価格を下げて本質的価値に近づき、割安な株式はいずれ価格を上げて本質的価値に近づいていく、ということです。

ここでいう株価の自律修正作用とはどういう意味でしょうか?

株価の自律修正作用は、割高株のように、過度に期待値が高かった企業が時間とともに冷静な味方をされてきて株価を落としてくるものです。

逆に割安株のように、本来価値より低く投資家から認知されていた企業価値が、業績の大きな向上や画期的な製品・サービスで本来の価値を認識されて株価が上がってきたりする作用です。

理論的には、株価の暴騰に伴って本質的価値も高まれば、株価は高く維持されることになります。しかし、株価が投資家心理を反映して急速に伸びるのに対して、本質的価値は企業の地道な努力によって徐々に高められていくものですから、そう簡単に株価に追いつくことはなく、やはり、いずれは株価が落ちてくることが多くなります。

割安株が上がってくるときも多くの場合は時間をかけて、本来的な価値が認知されて本来の価値の基づいた株価が反映されてきます。

そのような株価の自律修正作用がはたらくことで安い株価で買った株が値上がってきて、その値上がり益で利益をだす。これが割安株投資で利益の出る仕組みです。

「安全」「安心」な割安株投資にはデメリットも


割安株投資のメリットとしてまず挙げられるのは、安全性です。

本質的価値はもっと高いにもかかわらず割安価格で取引されている割安株は、適正価格や割高価格で取引されている株式に比べて価格が落ちにくく、堅実な投資ができる可能性が高いのです。

そのため、より安全性の高い投資が可能となります。これが割安株投資の持つ安全性であり、メリットです。(ただし、これは平常時の話であり、日経平均株価が暴落しているような状況では、割安株もその難を免れられません)

ただ、割安株投資にもデメリットがあります。それは、割安株のなかには、かなりの長期間にわたって割安であり続けている株式もあるということです。

そのような銘柄は案外多いものです。

なぜ、割安価格を維持し、本来的な株価が反映されずにい続ける企業があるのかと言えば、うまく株価の自律修正作用が働かなかったからです。

自律修正作用は、投資家から正しく認知されることで機能しますが、必ずそれがはたらくわけではないのです。

まずは成長株投資を経験してみる方がよいかも


最初に書いたように、割安株投資はというものは、成長株投資とは対極にある投資手法です。爆発的な成長力を秘めた成長株に投資するのではなく、本質的価値までは株価を戻すであろう割安株に投資し、元本の安全性を確保しながら、長期間でそれなりに満足のいく利益を上げることを目指す、ひとつの「投資手法」です。

しかしながら、割安株銘柄には株価が上がってこないというリスクもあります。

成長株も割安株、どちらもも投資を始めるときの株価は低く、資金の少ない人には株が買いやすいというメリットがありますが、その性質は真逆です。

わたしとしては、初心者にはまず株価の安く成長性が見込まれる成長株投資をまず行い、資金に余裕が出てきたら割安株投資にチャレンジするという方向でも良いのかなと思います。