会社の持つ3つの価値から成長銘柄を見極める

会社が社会に与える「価値」から成長銘柄を考えるのがキモ

株式投資で利益をもたらす成長銘柄を見極めるためには、ファンダメンタルズ分析によって、その会社が消費者・社会に与える価値がどのようなものであるか、それが今の消費者に必要とされているのかを知る必要があります。

会社の財務状況やこれまでの業績、これからの業績予想、会社の経営方針を理解することはもちろん重要ですが、それとおなじくらい会社の持つ価値を理解することも重要なのです。

なぜなら、人が感じる価値のいかんによって人は、お金を出してその会社の提供する品、サービス、体験を手に入れたいと思うからです。

これは食べること、遊ぶこと、健康になること、お金を儲けること、福祉事業、あらゆるすべての経済活動に共通すると言って良いでしょう。

ところで、わたしたちが普段「価値」という言葉を使う時には、いろいろな意味が混ざり合って含まれています。よく言われる「価値」という言葉、これは実際どんなことを指しているのでしょうか?

辞書で「価値」の意味を調べると、

1、その事物がどのくらい役に立つかの度合い。値打ち。「読む価値のある本」「価値のある一勝」
2、経済学で、商品が持つ交換価値の本質とされるもの。→価値学説
3、 哲学で、あらゆる個人・社会を通じて常に承認されるべき絶対性をもった性質。真・善・美など。

とあります。

では、会社が出す価値とはなんでしょうか?
ここでは企業が消費者・社会に与える「価値」を三つに分けていきたいと思います。

世の中で使われている価値という言葉は3つに分類されます。それは、
1、有用性としての価値
2、内面的な価値
3、社会的な価値

この3つの価値になります。

そこで今回はこの3つの価値をそれぞれ理解し、ファンダメンタルズ分析でこの3つの価値がどのように与えられているかを見れるようにしていきましょう。

ファンダメンタルズ分析にこの項目が加われば、会社の分析がさらに深くできるようになるでしょう。

特にこれからの時代は、今まで企業が社会に提供してきた価値に変わって新しい価値を求める人々が増えています。ですから、この三つの価値の違いをしっかりと理解しておきましょう。

会社の有用性としての価値とはなにか

会社が与える消費者・社会に与える、3つの価値の一つ目は会社の有用性の価値です。

これはもっとも馴染みが深く資本主義がメインに扱う価値です。経済、経営、金融、会計などで価値という言葉が出たらこの有用性・有益性・実用性としての価値を指します。

これをひとことで言えば、「役に立つか」という観点から考えた価値です。現実世界で使用できる、儲かる、といった実世界での「リターン」を前提にした価値です。

基本的には現在の枠組みで資本に展開できるものを前提とした価値です。なので、直接的に次のお金に繋がらない、現実世界で利用できないものは有用性としての価値はないことになります。

次章で話す「内面的な価値」や「社会的な価値」はこれまでも求められることがありましたが、前面に優先されてきたものはやはり会社の実用性の価値でした。

しかし、今これが確実に変わりつつあり、より「内面的な価値」や「社会的な価値」が求められる時代になっているのです。

会社の内面的な価値とは

では2つ目に、会社の内面的な価値についてお話します。

「会社の実用性の価値」という実生活に役に立つかという観点とは別に、個人の内面的な感情と結び付けても価値という言葉は使われます。

この価値は愛情・共感・興奮・好意・信頼など、実生活に役に立つわけではないけれど、その個人の内面にとってポジティブな効果を及ぼすときに、価値があるという表現を使います。

先の有用性としての観点で考えると、個人が心の中でどんなことを思っているかは関係ありませんし、それらの感情が役に立つといったことはありません。なぜかといえば、感情は消費する、役に立つといった実用性とは無縁だからです。

ただ、美しい景色を旅先で見たとき、友だちと過ごす時間が楽しかったとき、それらには価値があると表現しても特に違和感はないとわたしは思います。

そして、こうした感情的あるいは個人の内面的な体験を満たす商品やサービスが今後は求められ、支持される流れにあるとわたしは感じます。

会社の社会的な価値とは

次に3つ目、社会的な価値についてお話します。

資本主義とはひとことで言えば、個人の利益を追求していくことが全体の利益につながるという考え方です。もっと簡潔に言えば、たくさん儲けを取る人が大きなお金を動かし、消費を拡大し、それが経済を支えていくという考え方とも取れると思います。

その一方で、慈善活動やNPOのように、個人ではなく社会全体の持続性を高めるような活動もわたしたちは価値があると表現します。

金融や経営の視点から考えると、社会全体の持続性を高めるような行動はただの経費・コストに過ぎず、少なくとも価値があるとは言えません。

ただ、砂漠に木を植える人たちや、発展途上国に学校を作ったりする人の行動に価値を感じる人は多いと思います。

こうした地球環境保護や人道支援などの慈善事業などの観点が今後はより重視されていくものと思います。

3つの価値観から成長銘柄を見極める

以上、3つの企業が与える消費者・社会に与える価値を書いていきました。

このようにひとことで価値と言っても、わたしたちは有用性としての価値、内面的な価値、社会的な価値という、3つの異なる概念の価値を区別せずに使っていることが分かります。

そしていずれも、わたしたちの脳の報酬系を刺激する現象であり、脳からしたら等しく「報酬」と捉えることができるのです。報酬であるということは消費者にとって、どの価値でもお金と交換する価値が感じられるということなのです。

ファンダメンタルズ分析による銘柄・企業の分析を行うときはこれらの価値の観点から、消費者・社会に支持される企業はなんなのかを考えることが大事です。

こうした価値はそのときの情勢によって日々変動します。そうした変動を掴むには株式の情報だけでなく世界では何が起きているのか、どんなことが注目されていて、どんなことが流行っているのかを知ることが大事になってきます。

人々が求めている価値を提供する会社は長期にわたって消費者・社会に支持され、それはすなわちその会社の利益の拡大、発展に直接結びつきます。

そして、それを支える投資家は投資による利益を享受でき、そうした企業を投資によって支援することは大きな社会貢献に繋がります。