株はティック回数で流動性リスクをチェックする

株はティック回数を見て流動性リスクをチェックする


あなたは、株を買う時にどんなところをチェックして購入を判断していますか?もしかしたらその判断、重要なことが抜けているかも知れません。そしてそれはとても大事なことかも知れません。その重要なことこそ、「ティック回数」という数値です。

ファンダメンタルズ分析を行って、ROE(株主資本利益率)や自己資本比率、借入金などの財務キャッシュフローや、純利益、経常利益、営業成績が優良な銘柄で、企業の安全性や将来性も十分に見込まれれば、株を買っていいかというと、買っていいかの判断はまだしきれません。

なぜそれだけで買ってはいけないかと言うと、株式投資には流動性リスクというものが潜んでいるからです。いくら業績も財務体質も良い企業でも、その企業の存在が投資家にほとんど知られておらず、株の売買自体がほとんどされていないという状況だとしたらどうなるでしょう?

仮にあなたがどこかの株を買って、株価の値下がりが予想外に起きた、あるいは急にまとまった現金が必要になったとします。そうなれば保有している株を売って急いで現金化したいところですよね?しかし、いくら早く売りたくても、株の買い手が付かなくてはどんな株も売れません。

このような、自分の持っている株式が誰も買い手がつかなくて売買できない、なんらかの事情で持ち株を動かしたくても、動かすことのできないというリスクを株の流動性リスクといいます。文字通り株を流通させることができないわけです。

株というものは、株を買いたい人や売りたい人がいて、始めて買い値や売り値となる株価がつき、売買することができます。株を買いたい人や売りたい人がいなければ、株式にはお金が1円も発生しません。

この株式投資のの大原則をまず忘れないようにしましょう。株の売買は買いたい人と売りたい人がいて、お互いの需要度合い(いくらで株を買いたい・売りたい)が釣り合った時にはじめて成り立ちます。仮に買い手も売り手もいても、双方の希望する値段に見合わなければ売買が発生しません。

さて、それではこのような株を売りたいときに売れないという流動性のリスクは、具体的にどのように生まれ、そして防げばよいのでしょうか?

この流動性リスクをチェックするための必須項目として、株式の売買が活発かどうか(言い換えれば投資家に知られ、関心を持たれているかどうか)を示すティック回数(約定回数とも呼ばれる)をチェックするという方法があります。

株の売買は買い手と売り手がいて成立する

株式投資の場合、自分が保有している株式を換金するためには、一般的には、証券取引所を通じて、株式を売却する必要があります。そして、証券取引所での取引では、売りたい側と買いたい側の条件が合致して、はじめて売買が成立することになります。すなわち、買いたい人の希望額と売りたい人の希望額が釣り合わなければなりません。

たとえば、現在ある銘柄の株式の価格が250円で成立していたとします。この場合、250円で今からすぐに換金できるということを表しているわけではありません。購入側と価格や株数の条件が合致しなければ、売却することはできないのです。

特に、一時期に大量の株式を売却して換金しようとすると、その取引条件に応じる相手方があらわれず、結果として250円よりも安い価格でしか売却できない、また、値幅制限などによって、場合によっては取引そのものが成立しないといったことが起こる可能性があります。

値幅制限とは、株価の異常な暴騰・暴落を防ぐために、株価が1日に変動できる上下の幅を制限するものです。どれだけ上がっても○○円以上は上がらない、どれだけ下がっても○○円以下には下がらないという限りがあるわけです。この値幅制限の上限まで株価が上昇することをいわゆるストップ高、下限まで下落することをストップ安といいます。

株式投資の利点は流動性が他の投資に比べて高いこと


投資における「流動性」とは、言い換えれば「売りたいときにいつでも売れるかどうか」ということです。そして、「売りたいときに売れる」ということは「すぐに現金に換えられる」ということです。

例えば所有する不動産を売ろうとすると、ある程度の期間がかかり、一般的に不動産の売却は、すべてが完了するまでは通常3~6ヶ月かかるといわれています。そして不動産資産というのは、今日明日中に売って、すぐにお金に換えることは非常に困難です。そのため、不動産は資産としての流動性が非常に低いといえます。

しかし上場している株式は買い手さえいれば、証券取引所が開いている時間であればいつでも売却して換金することができますから、流動性という面では優れています。ただし、先述したように買い手がその時にいれば、ですが。

人生は何が起こるか分かりません。余裕資金を投資に回していても、急に多額のお金が必要になることだってあります。また、経済状況や相場環境の急変等(例えば市場の暴落)により、投資資金を引き揚げてキャッシュ(現金)でしばらく持っていた方が安全、という状況がやってくるかも知れません。

何かあったときのために、すぐにキャッシュに換えることができるものに投資しておくことが資産運用では大事なポイントです。売るべき時に売れず、そのために損失が拡大してしまうことは避けなければなりません。その面ではいつでも売って換金できる株式投資は安心です。

銘柄のティック回数(約定回数)とはなにか


先述のようにいくら会社の業績が良く、財務状態も申し分のない会社でも、その会社の株があまり知られていなくて投資家たちの間で売買されていなければ、その銘柄の売買は成立しにくいと言えます。つまり、その会社の株は流動性が低く売買しにくい状態なのです。

ところで、株式を発行している会社が市場全体でどれくらいあるのかご存知でしょうか?
株式市場にはおよそ3500銘柄の株がありますが、とても優良な会社であるにもかかわらず、その存在・価値を投資家にに知られていない会社は山とあります。

そして、銘柄探しをしていれば、そんな掘り出し物を見つけることは珍しいことではありません。しかし、そこでこれは稼げると安易に飛びつかずに、落ち着いてまず株の流動性をチェックする必要があるのです。そのために見るのがティック回数という数値です。

銘柄選びの時に必ずチェックしてほしいのが、1日の約定回数(ティック回数)です。
約定回数とは一日に株が売買取引された回数のことで、これを約定回数と呼びます。


ちなみに約定回数がなぜティック回数と呼ばれるかというと、ティック(TICK)という言葉は英語で値刻み、相場の刻み、呼値のことでを指します。ティックという言葉は、元々は時計の針が刻む音の「チックタックチックタック」のチックから来ているんです。

それでは、ティック回数の例を出しましょう。ある投資家が一回に1,000株の取引を約定したとします。この株数を変えて、一回に1,000,000株の取引をしても、それはティック回数としては同じ1ティック(一回の取引)となります。その投資家がどれだけ大量の株を売買しても、取引の回数としては一回です。

しかし、100株の売買を5人の投資家がそれぞれすれば、売買された取引量は全部で500株ですが、その日のティック回数は5回になります。例えば、ある投資家3人がそれぞれ100株ずつ株を売り、別の投資家2人がその株をそれぞれ100株ずつ買えば、ティック回数は合計で5回となります。売った回数は3人の投資家がそれぞれ売ったので3回、買った回数は2人の投資家がそれぞれ買ったので2回、合計すると(買い取引3回)+(売り取引2回)=5で合計5回の取引回数となるわけです。

つまり、多くの人が取引をすればするほどティック回数(株の売買取引がされた回数)が大きくなり、その株の売買は活発で流動性が高いと言えるのです。言い換えれば、多くの投資家にとって関心の高い銘柄ともいえます。

銘柄のティック回数と出来高の関係


機関投資家などの大口投資家が参加するような大型株では、他の日と比較して出来高に対してティック回数が極端に少ない値を示す日では、大口投資家の売買が積極的であったと推測されます。

出来高とはその日の株の売買が成立した株数を示します。機関投資家が一度の取引で大量の株を売買すると、ティック回数(取引回数)は少なく、出来高(売買成立した株数)は大きくなります。

この場合、高額の出来高(売買された株数)に対してティック回数(売買取引された回数)が少ないことは、機関投資家が一回の取引で多くの株を売買したと考えられます。一回で千株や万株の売買をすればやり取りされる金額は大きい(出来高が大きい)ですが、取引量はたったの一回、つまりティック回数は多くならないのです。

つまり、その日の取引額(株の出来高)が大きいのにティック回数が極端に少ない場合は、高い確率で機関投資家によって大量の株が、大きな資金で一気に売買された可能性が高いのです。ですから、その日のティック回数が少なくて、出来高が極端に大きな場合は機関投資家が売買している可能性が高いです。

対して、一般的には大口投資家が参加する可能性の少ない小型株では、出来高とティック回数には時系列的に一定の類似性が見られます。

機関投資家による大量の株の売買がないので、ティック回数と出来高には開きが少ないのです。言い変えれば、出来高とティック回数に類似性が見られる銘柄ほど、機関投資家が参入している可能性は薄いと言えます。

そして、たとえどんなに優良な企業でも約定回数が少ない銘柄は、買わないほうが賢明です。
それはなぜでしょうか?

流動性が高い株、ティック回数の高い株を買うことが重要


「今はティック回数(約定回数)が少ないけど、これは良い企業だからいつかはたくさんの投資家に知られて値上がりするだろう」と、その銘柄を購入して、数ヶ月〜年単位で長期保有する方法も確かにあります。

いつか、画期的な技術やサービスの展開によって業績が上がり、「これはいい株だ」と投資家に気づかれて、買いが集中することで株価が急成長する銘柄は確かにもあります。

しかし、その会社がいつ、どのくらい値上がりするか、そもそも本当に値上がりするのかどうかは誰にもはわかりません。

ずっと持っていてもなかなか上がらずに、「いつまでたっても上がらないからこの株はもう売りたい」と思ったとき、いざ売り注文を出しても、買いたい投資家がなければ売買は成立しません。

逆に、株価が下がってしまうこともあります。業績が振るわずに会社が倒産してしまうこともあります。会社が倒産すれば、株は一円の価値もなくなります。

株価がどんどん下がってきても、会社が倒産しそうなときも、買い手がいなければいっこうに売ることはできずに、ただ状況が悪くなるのを指をくわえて見ているだけです。

そんな事態を避けるために、株を買うときは業績が良いだけでなく、「売る時に困らない株」すなわち流動性が高く、買い手が多い株を選んでください。

そのために、ティック回数で具体的な株の流動性、株がどの程度売買されているかをチェックすることが大事なのです。売買が活発だということは、それだけ多くの投資家に知られ、関心を持たれているのです。

株のティック回数はどこで見られるか


さて、では具体的にティック回数はどこで見ることができるのか?方法はいくつかあります。
ティック回数を見る方法のひとつは、株探(かぶたん)というサイトを見ることです

株探は有望株(銘柄)の発掘・選択をサポートするサイトです。株価ニュースや決算情報、企業情報などがたくさん載っています。株価変動の要因となる情報や株式の売買タイミングに役立つ情報もあります。投資をやっている人であればほとんどの人が知っているサイトといってもいいでしょう。そしてティック回数も、株探で見ることができます。

株探→https://kabutan.jp
株探では、トップページのランキング・活況銘柄の「活況銘柄」でティック回数のランキングが見られるほか、個別銘柄ページでも売買代金などとともにティック回数が表示されています。

またSBI証券など、多くの証券会社のサイトから「ティック回数ランキング」というものを見ることができます。ティック回数ランキングは、その名の通りティック回数の多さをランキング順にしており、一日、週間、月間などの期間別にティック回数の多い銘柄を見ることができます。

株を買うときにチェックするティック回数の目安は?


株を買う時はその株が活発に動いているか、流動性があるかをチェックすること、そしてそのためには約定回数をチェックすることが重要だと書きました。また、流動性のチェックがなぜ大事なのかもお話ししました。

では株の流動性リスクを避ける目安として、ティック回数はどのくらいあればいいでしょう。
ひとつの結論として、1日の約定回数が50回以上あれば、まず間違いなく売買できるでしょう。これが株を買う指標としてティック回数を使う目安です。誰もが知っている大企業ならばよほど大丈夫ですが、そうでない場合は必ずティック回数をチェックしましょう。

約定回数が50回以下の銘柄は、取引が閑散としていて、売りたい時に売れない可能性が高い、つまり流動性リスクが高いので、優良企業でも即買いは見送りましょう。

ティック回数が少ないけど気になる銘柄を見つけたときは?


いくら優良な会社でも,ティック回数が低く、流動性リスクの高い銘柄は避けましょう。そうは言っても、いい銘柄を見つけたらティック回数が低くても気になるますよね。そんな時は、買い銘柄の候補として株ノートなどに記録しておき、定期的に約定回数が増えていないかチェックしましょう。

ノートに書いて記録するという単純な方法ですが、これならいったんは買いたい気持ちも落ち着くし、書くことで潜在意識に書き込まれ、ふとしたことで思い出しやすくなるという効果もあります。紙に書くということはとても重要なことで、それは株式投資で成功するための大事なポイントでもあります。

株式投資のノート術・記録術の参考はこちらから↓


約定回数は株の売買が成立した回数を数えたもので、売買された株数が多くても少なくても1回は1回としてカウントされます。

一方、出来高は売買が成立した株数を数えます。出来高が多い銘柄の売買は活況とされますが、一回の売買でも株数が多ければ、出来高は増えてしまいます。

出来高だけをみて売買が活発と判断してしまうと痛い目に遭います。
売買自体が活発かどうかは必ずティック回数(約定回数)で判断しましょう。

誰もが知るような大企業に関しては、多くの投資家が売買に参加するため流動性リスクも低いです。しかし、小型株はその数も多く、中には無名でも優良な企業も多いので、買う時は必ず約定回数をチェックするクセを付けましょう。