高配当株に「向かない業種」を知っておく

高配当株には向かない業種もある


先日、高配当株について記事を書きました。内容としては、

高配当株とはなにか、高配当株の特徴、高配当株の魅力、買う時のコツについて書いています。

高配当株は、当たれば一回(の配当額)で得られる利益が大きいだけでなく、それが長期的に享受できるというメリットがあります。

会社の業績によって分配される配当額の比率が大きい、つまり配当金のもらえる割合が大きい高配当株には大きな魅力がありますが、大きな注意点があります。それはなにかというと、高配当株には向いていない業種、カテゴリがあるということです。

今回は、高配当株として選択するのに向かない業種やカテゴリについて詳しく解説していきます。

高配当株が多い業種と少ない業種


それではさっそく実績配当利回りが高く、高配当株が多い業種の特徴をまとめておきます。
あとで解説しますが、この中には実は高配当株として向かない業種も含まれています。

1、証券関連株
ここ3年連続で、証券が圧倒的に業種のトップになっています。
証券会社の収益は主に株式の売買手数料や投資信託の手数料なので、株式市場が好調になると投資をする人が増えて手数料がたくさん入るので業績が良くなり、結果として配当が増えます。過去3年間の株式市場は比較的好調で増配(株主に払う配当額を増やすこと)する企業も多く、配当利回りが高くなりました。中でも、丸三証券(8613)、極東証券(8706)、岩井コスモHD(8707)などが高配当利回りとなっています。

2、商社関連株
商社も高配当を出している銘柄があります。2016年と2017年は2位、2018年は4位と、上位をキープしています。

商社は業績と比べて株価があまり上がらない傾向があり、相対的に配当利回りが高くなりやすくなっています。

具体的には、伊藤忠商事(8001)、丸紅(8002)、住友商事(8053)、三井物産(8031)など、大手商社の実績配当利回りが3年連続で3%を超えています。

3、保険関連株
保険は2018年に2位になっています。2016年は5位、2017年は8位で、比較的上位で安定しています。中でも、MS&ADインシュアランスHD(8725)、ソニーフィナンシャルHD(8729)、東京海上ホールディングス(8766)の配当利回りが高くなってきています。

各社とも、2016年3月期~2018年3月期は売上や利益が伸びて、株価上昇とともに増配してきており、高利回りの状態を維持できています。

MS&ADインシュアランスHDと東京海上ホールディングスは0.67倍、0.92倍と、PBRが1倍を割っています(2018年3月期実績)。

4、銀行関連株
銀行株は2016年に4位、2018年に6位に入っています。あおぞら銀行(8304)が、3年連続で4%超えの高い配当利回りを維持しました。

また、大手都市銀行株も、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)を除いて、おおむね3%台の配当利回りを維持しています。

ただ、保険とは異なり、あまり増配はしていません。日銀のマイナス金利政策の影響で、銀行株は2016年の春から秋にかけて低迷しましたが、それ以外の期間では株価にあまり大きな動きはありませんでした。そのために、配当利回りが安定する結果になっています。

5、鉄道・バス関連株
鉄道・バスは3年連続で実績配当利回りが最下位になっています。

鉄道やバスはディフェンシブ株の代表的な存在で、景気の影響は受けにくく、業績は比較的安定しています。

ディフェンシブ株とはなにか。ディフェンシブとは英語で防御的な、という意味です。 景気の変動の影響を受けにくく、業績が安定している業種をディフェンシブ関連と称し、それに属する銘柄をディフェンシブ銘柄といいます。

具体的には、生活必需品である食品や医薬品、社会インフラである電力・ガスや鉄道、通信といった業種を指します。

鉄道・バス関連株の配当は最近でこそ徐々に引き上げてはいますが、安定した配当を出す傾向があり、配当性向は全体的にやや低い水準です。

一方で、株価は2013年から2015年にかけて大きく上昇し、その後は高値圏で推移しています。そのため、株価が高い割に配当が少なく、配当利回りが低い状態になっています。

6、食品関連株
食品株は、2016年と2018年が下から3番目、2017年が4番目と、低い順位が定位置になっています。また、ディフェンシブ株の代表的な存在でもあります。

以前は株価があまり変動しない業種でしたが、2015年から2017年にかけて、全体的に大きく上昇しています。一方で、配当はさほど増えておらず、配当利回りが平均的に低い状況になっています。

7、サービス関連株
サービス業は、銘柄数が圧倒的に多い業種です。範囲が広いためですが、ソフトウェア系やインターネット系の企業が多くなっています。

成長中の企業も多く、それらの企業では利益を配当にあまり回さず、今後のための設備や人材投資に使っているところが多いです。

そのため、サービス業全体で配当利回りを平均すると、低くなります。したがって、サービス業は高配当株投資にはあまり考えられません。ただ、成長して売上や利益が伸びてくれば、株価も上がるので、対象に入ってきます。

8、電力関連株
電力株は、かつてはディフェンシブ株の代表といえる存在でした。株価も高値安定という感じで毎年安定した配当を出していて、利回りも2%程度はありました。

しかし、東日本大震災の影響で業績が悪化し、配当も引き下げられたため、現在では配当利回りはあまり高くない状態になっています。特に、福島第1原発の事故を起こした東京電力は事故直後から株価が約75%も急落し、ダメージが大きく、2012年3月期以降は無配に転落しています。

ただ、原子力発電所の再稼働が進んだ場合は、コストが下がって利益が増え、配当が増えるかもしれません。

高配当株投資に適していない業種とは


ディフェンシブ株は全般的に配当利回りが低く、高配当株投資に向かない状態になっています。

また、景気敏感株の中で、配当利回りが高い銘柄も避けるべきだと思われます。景気敏感株は業績の変動が大きく、株価や配当も大きく上下しやすいです。

今の配当利回りが高くても、株価が大幅に下落すると元も子もありません。また、株価が大きく下がるということは、業績も悪化しているはずで、配当も大きく減る恐れがあります。

高配当株投資に適した業種とはなにか


ここまでで、業種による配当利回りの傾向について述べてきました。では、高配当株投資に向いている業種は何だといえるのでしょうか?

高配当株投資をする上で、配当利回りが高いことは重要ですが、業績の変動が大きすぎて状況によって株価や配当の急落があり得るような業種は、避ける必要があります。

証券株は株式市場の動向に大きく左右される景気敏感株であり、株価の変動が激しく、業績が悪化すれば配当も大きく減る恐れがあります。

したがって、短期的な波にうまく乗ることができれば良いですが、中長期的な高配当株投資にはあまり適していません。

一方、銀行株はここ数年は株価変動があまりなく、安定しています。現状はマイナス金利の影響を受けていますが、将来的に市場金利が上昇すれば、業績が上がり、株価や配当が上がることが予想されます。

したがって、長い目で見た高配当株投資であれば、銀行株は適していると考えられます。保険株も銀行と似た状況にあります。

全体的に銀行よりはPERが高めですが、極端に高いというレベルではないので、高配当株投資に比較的向いていると考えられます。

ただし、リーマンショックのように金融業界に大打撃となるような事態になると、銀行株や保険株は大きく下がる恐れがあります。この点は頭に入れておく必要があります。