持ち株を「保有する」か「損切りする」か迷ったときは

保有か損切りの選択は投資家にとって日常茶飯事


あなたが個人投資家として株を持っているなら、毎日のように「この株は保有かそれとも売りか」大なり小なり、悩まされているはずです。

投資家として株を保有しているなら、その株は毎日株価が上下しているはずです。そしてその上下の動きは誰にもわかりません。だから株を持っていて明日は損するのかあるいは得するのかわかりません。

「今、株式市場はこんな感じになっていて、会社の業績予想はこんな具合だ。だったらこの銘柄は保有しておいた方がいいんだろうか?それとも損が大きくなる前に損切りをしておいた方がいいんだろうか」と毎日のように葛藤します。

そして誰もが、そんなときに保有か損切り(売却)か自分で決めなければなりません。今回は、そんなときにどう選択したらよいか、そのひとつの目安を示したいと思います。

これは、数字的なセオリー、投資のテクニックではありませんが、自分の責任で投資を行っていく上では単なるセオリーやテクニック以上に大事なこと、稼いで豊かになるためのマインドセッティングです。

保有も損切りもあなたが納得する理由を持ってから


個別投資でも投資信託でも、不動産投資でも海外投資でも、投資の世界では「この株は保有か損切か」決断を迫られたときに必ず、「説明を受けたときはとてもいい商品だったのに」「勧められたから」などということを理由にするケースをよく見ますが、いくら他のせいにしたところで、また実際にそうであったとしても、決断をして資金を投じたのは投資家自身です。

したがってその責任と結果はその投資家に、あなたが100%負うのです。実はこの当たり前のことが受け入れられないことが「株のずるずる保有」につながっています。この「ずるずる保有」は投資の世界ではいわゆる「塩漬け株」のことです。

「塩漬け株」とは 、上がると思って買った株が予想に反して下がってしまい、 処分すると損失が出るため売るに売れなくなり、 ずるずると長期間保有している株を指します。

保有でも損切りでも決断をするということは言い換えれば、株の保有であれば損切りを、株の損切であれば保有という他方の選択肢をあきらめることになります。

ですから、必ず納得する理由を見つけましょう。それもあなた自身が考えて納得する理由です。もちろんそこで今の相場の見通しをあてましょう、といっているのではなく、自分の資産や家計運営におよぼす影響を加味し、分配型商品であればそれまで受け取ってきた分配金の金額を合計してみましょう。

たとえ銘柄の基準価額が損切りするときに5,000円下がったとしても、分配金でこれまで60円×12か月×5=3,600円を受け取っていたのならば、思った以上に損失は大きくないと踏ん切りがつくかもしれません。

個別投資も同じです。具体的に損をする金額を知るのはイヤかも知れませんが、冷静に計算して損失額が思ったよりも少なければ、損切りもしやすくなるし、なによりそれが資産を守ることに繋がります。

それ以外にも他の金融資産で損益通算ができるのであればその点も考慮しながら決断しましょう。

損益通算とは、一定期間内の利益と損失を相殺することです。 株式などの投資を行って利益(譲渡益や配当など)が出た場合は税金がかかりますが、一方で損失が出た場合には利益から差し引いて、その分だけ税金を減らすことができます。

株式投資においては「根拠なき仮定」が一番のクセものである


「株価がここまで下がったんだから切り返すかも知れない」「もう十分下がったからここからさらに売りはないだろう」という「短い過去」やチャートの形状だけを見て自分に言い聞かせる、根拠のない「~かも知れない(仮定)」ははっきり言って時間の無駄です。

また、根拠のない「~かも知れない(仮定)」は時間の無駄なだけではなく、「あの時こうすればよかった」「こうしなければよかった」という思考まで発生させ、それは妄想によるあるはずにない後悔や怒りを生みます。

そしてそれはいつまでもあとを引きますから、今後の投資活動にも悪影響を及ぼします。投資判断にも投資行動の振り返りも、根拠のない「~かも知れない」思考は厄介なものです。

相場の動きを見誤ったというのは確かにあるかもしれませんが、基準価額が下がったのは投資家の皆さんのせいではなく、相場全体の動向であり、やむを得ないと捉えましょう。

基準価額が下がったことより、それに対してするべき決断を先送りにしたことに対しての自己責任だと考えるべきでしょう。

損切りで別の選択肢を模索するほうが建設的な場合が多い


自分で考えて納得のいく理由を探したうえで、損切りをせずに保有を決断した場合は、それ以降基準価額が下落すればまた、損切りするか保有するか、同じように二者択一で悩まなければならないことを覚悟しましょう。

そして、もうこの流れでしばらく株価は上がってくることは予想しずらい、基準価額も下がり続けていて、このまま保有し続けていれば、損失も拡大しそうである。このようなことをある程度、自分の中で理由づけて考えられるのなら、そのときはいよいよ損切りに踏み出すときでしょう。

損切りをしたときは確かに、「〇〇円も、損した…」としばらくは自己嫌悪に陥るか「もし収益が出ていれば○○円になっていたのに」と「たられば」に悶々とすることもあるでしょうが、それはほどなく新たな投資先を模索する建設的な時間となりえます。

そして無数の「決断に迫られた瞬間」を、これからも迎えることになります。この決断は投資をしていれば誰にでも、そして何度となく、それもいつ出るかわからないのです。そしてそのとき必ずどちらか選ばなければならないのです。

決断の結果についてじっくり考えることはもちろん大切ですが、もっと大事なことは、決断を迫られたて悩んでいるということはすなわち、「損切り」の選択肢がちらついているわけで、その場合はアクションをとったほうが時間を有効に使える場合が多いようにわたしは思います。

損切りの金額的な目安とコツ


さて損切りをいざするとき、株を売るタイミングの判断は株価がどの程度まで下がったときかですることがほとんどだと思いますが、その基準となる明確な指標・株価は実はありません。

ただ、多くの投資家の話を聞くと買った価格より20%程度まで株価が下回れば売ると考える人が多いようです。ですから一応はそのあたりが目安で、あとはあなたの心理的許容度が売るタイミングを決める要素になります。

下落幅が20%では苦しいと感じるなら、15%下がったら売るでもいいし10%下がったら売るでもいいのです。逆にもう少しリスクを負って、保有する時間を延ばしたいのなら30%株価が下がったら売るという設定でもよいでしょう。そこは投資家の心理的許容度や投資の経験も関わるところです。

いずれにしても、損切りするなら自分の中で明確で具体的な基準をひとつ設けておくこと、これが損切りの重要なコツです。行動ファイナンスという分野の研究において人は、お金を失うことに大きな痛みを感じることが分かっています。

この痛みがあるからこそ、人は損失を選択することを恐れて損切りの決断を先延ばしにし、結果としてより株価が下がって損失を拡大させてしまうのです。だからこそ、損切りにおいては自分の中での明確な判断基準が必要となるわけです。