投資には「長期」「分散」「積立」という3つの視点が重要

今は個人が資産運用を当たり前にしていく時代

日本人の多くは、自らの資産をリスクのある投資に向けるのが苦手な傾向があり、その背景には、国策としての“貯蓄文化”があります。

太平洋戦争で敗戦した日本では、戦後の復興を実現するために「救国貯蓄運動」を展開します。

「救国貯蓄運動」とは、太平洋戦争に負けた日本が、その戦後復興のための資金を確保するために展開した政策です。昭和20年には「戦後ニ於ケル国民貯蓄増強方策」が制定され、政府は国民に対して貯蓄に励むように積極的に指導教育しました。

太平洋戦争にかかる莫大な戦費に充てるために、やたらに発行し買わされた国債に対して、人々は敗戦後にいっせいに換金に走ったのです。それに対応する為に日銀は紙幣を増刷しました。戦争で工場などは破壊されていたので、お金はあってもモノの生産はできず、戦後は強力なインフレに陥りました。その市中にあふれたお金の対応策としても、貯蓄は有効手段だったのです。

救国貯蓄運動における本来の目的はインフレの抑制にあったものの、日本経済の自立や発展を実現するという名目上、当時の大蔵省や日銀が貯蓄を呼びかけ、日本人に貯蓄文化が根づいたと考えられます。

そして、日本人のタンス預金の規模は大きくなっていったのです。「タンス預金」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。タンス預金とは、金融機関ではなく手元にお金を保管しておくことを言います。

第一生命経済研究所のレポートによると、日本は2016年末に現金残高(手元に残している現金の残高)が102.4兆円になりました。これは国民1人につき、約81万円をタンス預金している計算になります。もちろん、国民全員がタンス預金をしているわけではないので、実際のタンス預金者1人あたりのタンス預金額が思った以上に多額であると推測されます。

しかし現代社会においては、少子高齢化の進行や長寿命化によって、年金や医療費など社会保障費の増加が問題視されています。これらの問題への対策として、将来的に年金支給額が減少したり、医療費の自己負担額が増加したりする可能性を考えると、個々人が政府に頼らず自らの資産を形成していく必要があります。

そのため、今後はこれまでのように貯蓄するだけでなく、自らの資産を積極的に運用していかなければならないのです。そして、資産を適切に運用するために欠かせないのは、「長期」「分散」「積立」という3つの視点です。

「長期」は、投資を数日や数週間ではなく、数か月や数年単位で行うこと、「分散」は、投資先を様々な要素に分けることでリスクを避けること、「積立」は、時間をかけて投資金額を増やしていくことで、投資額を大きくし、得られるリターンを大きく拡大させていくことです。

投資は、期間の長短によって成果が大きく異なる

そもそも資産運用は、投資を行う“期間”によって得られる成果が大きく異なります。単純に考えてみても明らかなように、資産運用を行う期間が長ければ長いほど、自らの資産は増えていく可能性が高まります。そこに、資産運用の重要なキーポイントが隠されているわけです。

どのような方法で資産運用を行うにしても、短期間で利益を出そうとするとなかなか成果を上げられません。なぜなら、投資において短期間で利益を出すには、どうしてもリスクの高い方法を選択せざるを得なくなるためです。リスクの高い方法を採用してしまうと、資産を大きく減らしてしまう可能性が増えます。特に、資産運用についての知識や経験が乏しい初心者であれば、なおさら短期間で利益を出すのは難しいでしょう。

投資本で「初心者でも○○日で月収△△万円稼げる」といったような、短期間で大きな利益を狙うことを謡うタイトルの本は、ハイリスクな投資手法を紹介していることも多く、実際はなかなか成功する人も少ないと思います。

「将来に備える資産運用」を目的とするのであれば、インカムゲインや複利効果によって、資産を減らすことなく着実に増やすことができる「長期投資」を選択するのが賢明と言えます。

このように、資産運用というのは、期間の長短によって大きく変わるものなのです。

資産運用は「長期」「分散」「積立」の3つを意識しよう

そのような資産運用の基本を踏まえたうえで、「長期」「分散」「積立」という3つのポイントについて考えてみましょう。これら3つのポイントをきちんと押さえておけば、資産運用に必要な考え方の基礎を身につけることができます。

・長期にわたって資産を運用すること
長期にわたって資産を運用すれば、インカムゲインを主とする堅実な方法を選択することが可能となります。また、知識や経験が蓄積され、さらに複利効果によって資産が増えやすい環境を構築することが可能です。
インカムゲインとは、株式や債券などの資産を保有中に得られる収益のことです。 例えば、株式では配当金、債券では利子、不動産では賃貸することにより得られる家賃収入がインカムゲインに当たり、それら資産を保有し続けることで、継続的な収入を期待することができます。

資産運用に失敗している人の多くは、短期間で利益を上げようと躍起になり、結果的に失敗してしまっています。やはり、長期でじっくり資産を育てるのが資産運用の基本なのです。

・分散によってリスクを軽減する
リスクという観点から考えると、リスクを適切に分散させてあげることも大切です。「卵は一つのカゴに盛るな」という格言もあるように、すべての資金を一つの対象に投資してしまうと、何かあったときにリスクヘッジができません。投資先を分散し、安全性を担保することも
また、資産運用の基本となります。リスクヘッジとはなにかというと、起こりうるリスクの程度を予測して、リスクに対応できる体制を取って備えることです。 単にヘッジと呼ぶこともあります。 例えば、資産運用において、資産価値が一方的に下落することを最小限に食い止めるために、先物取引を使ってリスクを回避する方法があります。
・コツコツと積み立てる者は得をする
長期と分散に加えて、「積立」という発想も重要です。積立とはつまり、特定の金額を一定のペースで積み立てていく投資方法のことです。多くの人は「お金があるときに投資をしよう」と考えていますが、そのような発想では、いつまで経っても投資をはじめることができません。また、持続性もないのです。だからこそ、積立という仕組みを活用していきましょう。